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神憑りのお話ーー53

susa

神憑りのお話ーー53

まおゆう「この我のものとなれ勇者よ!!」
まおゆう(魔王勇者*「この我のものとなれ勇者よ」「断る」) より 勇者(左)と魔王(右) 魔王が、勇者と協力して世界を本当の意味で「救う」ことを目指すという、国民的RPG「ドラゴンクエスト」の、とある1シーンを、アベコベにして、そこから世界観を膨らませたような物語。もともとは。2ちゃんねるに書き込まれた自作物語で、それがさらに加筆修正されて小説として出版。更に、漫画化、アニメ化と、商業ベースにのって、成功を収めた、この種の作品としては「大成功」を収めた作品。私がこの作品との出会いは、去年だったか、一昨年だったか、ネットで偶然、2ちゃんねるに掲載されていた過去スレをまとめたサイトにたどり着いたことがきっかけで、やはり、「神憑り」をしていた当時の自分と幾つか重なる所があって、何箇所か、本気で泣いた箇所があります。特徴的なのは、この作品には、ただの一人として「名前」を持ったキャラクターが登場しないという事で、よくよく考えてみたら、これは昔話などでよく使われる「おじいいさん」「おばあさん」と同じ技法なのだと、後になって気が付きました。

https://comic-walker.com/contents/detail/KDCW_KS04000002010000_68/
上記のページから、第1話のみですが、試し読み出来ます。

 この記事は、なんとなく直近の記事と続いている感じです

 久しぶりに、「神憑り」としての記事を書きました。

 
創造主が存在して、その世界に暮らす人々は、気がついては居ない、あるいは、創造主と直接の対話は出来ないけれど、実は箱庭の中で、生かされている存在である。
 物語では割と多用される設定で、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教などの世界観も、実際にはこのような世界観です。
 ですから、建前上は現代人も、このような世界観の人のほうが、多数派ということになります。


 まぁ、人々の振る舞いを観る限り、とても、「神を本気で信仰している」ようには見えませんけれど。だって、「神の教え」に背きまくりじゃないですか。

 私達の生きるこの世界は、そんな風に、「神を信じます」とか「人間は平等です」とか口にする一方で、他人に対して冷淡で、何かにつけて自分が得になるようなルールを定めたがる差別主義者、あるいはもっと単純な「ペテン師」「詐欺師」で溢れかえっていますが(あるいは、そういう人々が目立つだけかも知れませんが)、この作品の二人の主人公、勇者と魔王は本気で力を合わせて、世界を救おうと尽力します。
「世界を救う」が、いったい何を意味するのか、その終着点も分からぬままに。

 深く読み解いてゆくと、これは、完全なお伽話なのだと気付かされます。
 例えば、第一話で魔王は、勇者に対して「戦争が経済に与える好影響」を説きますが、同作品の中で、別の人物によって「戦争は富を生まない」とハッキリと否定しています。
 戦争に至る経緯はものすごく単純化されていますし、個々の人間の思考もものすごく単純です。
 二つの要求に対して、身も心も引き裂かれるような、誰もが抱えているはずの葛藤も、まるで見当たりません。 そういう意味では、「清々しい」ほど、この作品の登場人物は、自分の心に対して自由に生きています。
 本来、世間でもっともありふれている、組織内における「政治」「根回し」も存在せず、事態は極めて論理的に動いてゆきます。
 というよりも。
 本来、魔王と勇者が手を結ぶとしたら、救いようのない悲劇的な作品になってしまうか、絵に書いたようなお伽話になってしまうかのどちらかしか成立しえず、この作品の作者は、後者を選択したのでしょう。

まおゆう「お願いだから」s
勇者に対して、魔王が「勇者を自分のものとする対価として、勇者に対しては自分を差し出す」と告げるシーン。要するに、プロポーズ。覚悟を決めて殺しに行った相手に、真正面からプロポーズされたら、流石に思考が停止しても仕方がない。まぁ、この作品は、そういういみで、さいしょから「お伽話」を全力で疾走している。まぁ、世界を救うとか以前に、魔王にとっては、「命をかけた恋」だったわけですね。

 だって。
 人間界最強の存在と、魔界最強の存在が手を結ぶということ
は、そういうことを意味するはずです。
 例えばーー冷戦時代、米ソが和解していたら、どんな世の中になっていたか、考えてみれば判ることです。
 両国が和解したことで、世界に平和が訪れるーーというのが、おとぎ話的な発想。
 米ソが全ての面で利益を独占し、他国は生かさず殺さずの植民地のような状態になるーーというのが、リアリスト的な発想。
 昔は、「そんなの、やってみなければわからないじゃないか」という声もありましたが、現在、現実に「グローバリズム」が世界を席巻し、一部の強いものだけが全ての富を独占するという現象を引き起こしてしまうのが人間という生き物である、ということが理解されてしまいました。
 ですから、世界の潮流は「反グローバリズム」に向かっているわけですが、日本国内においては、「グローバリズム」を強硬に推進しようとしている勢力が、以前強い力を握っています。

 まぁ、それはさておき。

 この「まおゆう」
においては、殆どの人は善意に溢れ、人々の幸福を願う、極めて善良な存在として描かれています。
 もしかしたら、世界は基本的にそういうもので、私がひねくれ過ぎているだけなのかも知れません。また、そうであったらどれほど嬉しいかとも思います。
 ですが、実際問題としても、作品の中に極めて強い悪意をもったキャラクターが登場し、その僅かなキャラクターによって、「世界中」といっても良い規模に、不幸が押し寄せる結果となります。
 これは、現実世界でも同じで、極少数の人々のエゴが、圧倒的大多数に対して、悲劇を招くようなことが多々あります。

 消費税は、その際たるものであって、本当の目的は「税収増」ではなく、巨大企業の法人税減税の原資とする、等が囁かれています。もちろん、この手の話に、「真実が明るみに出る日」は来ません。

 一部の人々のエゴのために、他者が犠牲になるということは、許されることではありませんが、「許されない」は、けっして「起こりえない」ではない、ということに留意しなければなりません。実際には、そのような事象は、この世界では多々あるのです。問題は、社会に、「その問題を、解消してゆく心積もりがあるか、否か」なのでしょう。
「私には関係ない」ではなく、「理解して、間違っている点は修正する」という姿勢が失われた時、政治は暴走を始め、人々は不幸の中に沈むのです。

 もちろん、私はこの作品を否定してるのではありません。
「まおゆう」
という作品は、お時話としては最上級の部類に含まれると思います。読み手を魅了する、様々な仕掛けに溢れており、「ほんとうに、2ちゃんねるで素人が、その時々のノリで話を繋いでいっただけの作品なのか?」
 と驚嘆せずにはいられません。
 最初から、「ラストまでの物語が設定されていたのではないの?」と思えるほど、上手くまとまっていますし、物語の終盤では、物語の冒頭と同じく、「ドラゴンクエストのパロディー」であるという点が、最大限に活用されています。

虹の橋ードラクエ-s
虹の橋 をかけるシーン(ドラゴンクエスト) まおゆうでは、この虹の橋が、天へと続く光の螺旋階段という形に置き換えられて登場する。よくぞ、そのように変換したと、感心します。だけど、ニヤッとしている余裕はないです。先の展開が気になって、読むことに夢中になってしまうので。あとになって、「あー。あのシーンは、あそこのパロディーだったのか」、という感じです。

 でも、やはりこれは「お伽話し」であり、現実はこのようなものではないーー
 作者がもし、そこまで踏まえていて、「だから、現実についても考えてくれ」という思いでこの作品を書いたのだとしたら、天才という言葉でも足らないと思うのですが、流石に、それは考え過ぎなのでしょう。

以下蛇足:
というか、むしろ本文?

 神憑りをやって、わけのわからん理不尽な事態を山のように経験させられた私にとって、人間の理から外れているが故に、本質的な「仲間」を造ることの出来ない勇者という存在は、とても親近感を覚える存在でした。
 例によって、勇者の周りにはそれでも沢山の仲間が集い、対象的に、私は相変わらず何をしているだかなぁーーって感じでしたが。

 冒頭にも書きましたが、この世界は建前上は、「神様が居て、この世界を作ったのはその神様である」という世界観の人の方が多いことになっています。
 この「まおゆう」という作品もそれは同じで、世界は「箱庭」という事になっています。そして、箱庭の中で覇者となることを目論んでいる者が居たり、箱庭の次の主になる野望を抱いている者がいたり、というドラマが展開されます。
 そして、私自身も、「この世界は、誰かの箱庭でしょ。だって、意図的に創られた痕跡が山のようにあるじゃない」という立場です。
 そして。「箱庭」だとしたら、なんで、こんなに苦しい目に合わなければならないんだろう?
 とか考えるわけですが。
 特に心当たりはないけれど、罰をうけさせられているのかなぁ?
 とか。
 苦しんでいるのを観て、腹を抱えて笑っている、正確の悪い奴が居るのかなぁ?
 とか。
 何かを学習させるための場なのかなぁ?
 とか。
 ガキ臭いことを考えます。

 だけど。
 死ぬまで戦っても絶対にクリアーできない=思う存分、容赦なく本気で遊べる、超スパルタンなゲームなのかな?
 とかも、思ったりします。
 そもそも、攻略方法が間違ってる、とかいう説もありますが。

 つづく

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Posted bysusa

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