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いきもの憑りのお話ーー35

susa

いきもの憑りのお話ーー35

進化論s(中)  
進化論を象徴する図  この項の内容は、前回の記事を参考のこと

 この記事は、一度、消えました。今回のは特にボリュームある記事なので、心理的ダメージが大きかったです。

 前回お話したように、「昆虫の変体」とは、何なのか?
 ということについてお話するのですが、その導入の手がかりとして、海サソリという生き物の話から入らせて頂きます。


海サソリ(s)
海サソリ
4億6千万年前に登場し、浅瀬の海に君臨した生態系の頂点生物。その全長は最大で2.6メートルにも達した。現存するサソリやクモの祖先という説もある。また、カブトガニはこの海サソリに比較的近い存在なのではないかという説もある。2億5千万年前に起きた大量絶滅の際に、三葉虫などと共に絶滅した。

 はぁ。
 それにしても、いまいち、ノれない。本当に、なんで消えたんだろ?


 当時の海の王者である海サソリの登場が、4億6千万年前
 大陸上にサソリが姿を表したのが、4億3千万年前。ということは、「海から陸に上がった」と仮定するならば、海サソリが陸に上がって、サソリに進化をした、と考えるのが妥当でしょう。
 ただし、陸上を最初に闊歩した生き物はサソリでもなければクモでもない、多足類のヤスデだったと考えられています。
 サソリは、直ぐには上陸せず、しばらくの間、水の中での暮らしを続けていたーーということになるようです。


 ところで。
 2010年2月に、ネイチャーにこのような報告記事が掲載されました。
 甲殻類の遺伝子を調べたところ、最も古いものがサソリ・クモの仲間。
 ここから派生した生物が、ヤスデやムカデの多足類。
 少し遅れて、エビやカニやミジンコの仲間。
 さらにこのエビ・カニグループから派生したのが、昆虫。

 ということなのですが。
 悩ましいことに、ミジンコの前身だったと思われる貝虫という生物の仲間が、こともあろうか、カンブリア紀の地層から発見されているのです。
 カンブリア紀は、前回出てきたアノマロカリスが海の王者だった時代で、5億4千万年前から4億8千万年前まで続いた時代です。
 4億6千万年前に登場した海サソリの子孫が、それより昔の遅くとも4億8千万年前に現れたということです。


 これって、どう考えてもおかしいですよね?
 子供でも判る話です。
 とはいえ、言葉だけだとわかりにくいので、図を貼ります。図で見れば、ほんと、小さな子供でも、何処がおかしいか、ひと目で判るんです。
生物史(海サソリ)

 ほら。こうすれば、一目瞭然。
 なんで、サソリ類の次の次の世代の生物が、サソリ類よりも先に現れてるの?
 って話。


 さて。
 貝虫がほんとうにカンブリア紀に居たのなら、考えられることは、3つです。
 1つ目は、遺伝子の検査が間違っていた、というもの。
 2つ目は、
化石の分類が間違っていた、というもの。
 3つ目は、海サソリ、もしくはサソリが、カンブリア紀よりもずっと以前から、既に地球上に存在していた、というもの。
(宇宙から来た、というのは無しです)

  ですが、化石の分類に問題はなく海サソリがカンブリア紀の海に居た可能性も限りなくゼロです。当時、浅瀬の海を支配していたのは、アノマロカリスで、最大級のアノマロカリスの大きさが約1メートル程でした。
 当時としては破格の大きさですが、こんなものは、海サソリの2.6メートルという大きさの半分未満でしかありません。

 そして。
 海サソリもまた、浅瀬の海の支配者でした。
 もしもカンブリア紀に海サソリが現れていたのなら、間違いなく、アノマロカリスを駆逐して、海サソリが王者となっていたでしょう。カンブリア紀の王者アノマロカリスも、オルドビス紀の帝王海サソリにとっては、おっきなミジンコです。
(そもそも、大きさが倍以上違います)

 実は、アノマロカリスという生き物は、肉食動物としては相当な欠陥がありました。攻撃力が低いのです。口の構造が非常に特殊で、大きく開いて獲物に喰らいついて噛みちぎる、といった事は出来ないのです。オマケに、口そのものの大きさも小さい。そして、最大の武器は、変な触手です。この触手は、丸めて相手を捕まえるぐらいのことしか出来ません。
 戦闘スタイル的には、カマキリに近いのでしょう。というか、水中生物なので水カマキリやタイコウチをイメージするのが良いでしょう。巨大な二つの鎌で捕まえて、ムシャムシャと食べるイメージ。

水中用ボール 

巨大な二つの鎌で捕まえて、ムシャムシャと食べるイメージのイラスト ノーコメント

 相手が捕まえられるサイズまでなら無類の強さを発揮するけれど、捕まえられない相手には、せいぜい、体当たりが関の山。
 でも、泳ぐのが下手なのろまのアノマロカリスに水中で体当りされても……

 これに対して、海サソリのハサミは、「なぐる」「握り潰す」「捕まえて振り回す」等の多彩な攻撃を繰り出せてしまいます。大きさが4〜50センチもある巨大なペンチでそんなことされたら、大抵の生き物は、一撃で死にます。
 しかも、ハサミが両手があるので、たとえ、自分よりふた回り大きなワニと対決させられたとしても、かなりいい勝負が出来ると思われます。片手を犠牲にして、もう一方のハサミで相手の急所を握りつぶすとか。
 なんか、熱い戦いになりそうです。
(私は、ザリガニといい勝負が出来ます。はさみを振り上げられると、けっこう怖いです)

 たとえ、カンブリア紀の海サソリがアノマロカリスの後に現れた新参者の小型生物としてスタートしていたとしても、駆け足で頂点へ上り詰め、徐々に巨大化してアノマロカリスから王座を実力行使で奪いとったはずです。

 しかし、実際問題、当時の海には、そんな形跡は皆無です。
 海サソリほどのモンスターが存在していたら、見つからないはずは無いのですが、痕跡はゼロ。
 ということは、「カンブリア紀以前にサソリの仲間が存在していたとすれば、それは海ではなくて大陸の上」ということになります。


 そしてこれは、前回お話した、「クラゲが大陸上の湖などに取り残されて、独自の進化の道を歩んでいた」という考え方、そのものなのです。
 そもそも。
 4億6千万年前に現れた海の王者海サソリが、4億3千万年前までには小型化しながら河川を遡上して、そこで突然、足が沢山あるヤスデに進化して、サソリのままの姿で水の中に留まる仲間たちを尻目に、一足早く上陸を果たすーー
 なんてシナリオは、まともに考えたら、頭痛が始まって通院を余儀なくさせられるぐらい、ぶっ飛んでる話しなのです。

 いったい、何処をどう弄れば、サソリがヤスデに変わるというんですか?
 私に理解できるように、だれか、ちゃんと説明してください。
 王子様のキスですか?
 どこのマニアが喜ぶんですか、そんなお話。

 サソリが1千万年ぐらいの短い期間でヤスデに変身したというのであれば、それはもう、「進化」にはルールなんて存在しないと言っているようなものです。


 これに対して、先カンブリア時代に、大陸上の何処かに、サソリの祖先が既にいたーーというのは、固定観念さえ取り除くことが出来れば、後に起こった事件の全てを、整合性を持って説明出来ます。もちろん、サソリだけではありません。他の生物も、ほとんどが出揃っていたのです。

 もしかしたら、ここまで読んだあなたはいま、胸の中にモヤモヤとしたモノを貯めこんでいるかも知れません。

 そのモヤモヤは、大陸の上に取り残されたクラゲが居た、という点ではなくて、大陸上の生物だけが、海に残った生物に比べ、やたら一方的に飛躍的進化を遂げた、という点に関係がしたものだと思います。

 そのせいで、一方的に都合が良い話に聴こえて、単なるご都合主義っぽく思えてしまう。

 海の生き物がまだ単純極まりない下等生物だった頃、陸の上に、たっぷり数億年分は進歩した未来生物で溢れかえっていたーーなんていう話、いきなり納得しろと言っても、なかなか、出来ることではありません。

 ですが、大陸の上での進化が一気に進行するのは、ちゃんと理由があっての事なのです。

 実験室のシャーレを思い浮かべてください。
 中には微生物が入っています。
  放射線や化学物質を、全滅しない程度に次々に照射や投入して、生き残った者だけを培養して、更に過酷なストレスを与え、ひたすらそれを繰り返してゆきます。

 すると、短期間で、「強い耐性」を持った微生物が現れますよね。抗生物質に対して強い耐性を持ったウィルスやバクテリアは、これと全く同じ原理で登場していると考えられています。

 大陸の上には、大小さまざまな湖や池や、無数ともいえる数の水たまりが存在していたはずです。
 それら一つ一つが、実験室のシャーレと同じなのです。
 暑かったり、寒かったり、様々な化学物質が紛れ込んできたり、あるいは酸素や餌が不足していたり。時々干上がってしまったり。

 それでも生き残ったものが、時々起こる大雨や洪水などで広範囲に拡散されて、また、同じことの繰り返し。
 大陸の上で起こったことは、まさに、実験室のシャーレや試験官の中で行われる、品種改良と、同じなのです。
 そのような世界で、生物たちは、極限レベルの生存競争を繰り広げ、結果として進化が急速に進んだのです。
 進化の原動力は、「大量絶滅」。
 ほんのひとにぎりだけが生き残るという、過酷な状況をくぐり抜けた時、生物進化が、一歩進む。
 ひとにぎりだけが生き残れる状態がずっと継続すれば、「まるで別の生物に変わってしまう」。
 我々が「進化」と呼んでいる現象は、そのような理屈で生じているのです。

 これこそが「カンブリアン爆発」という手品の種が仕込まれていた現場と言ってよいでしょう。

 その一方で、海の中は、あり得ないくらい平和でした。
 気候は温暖で、光合成生物が大繁殖しており、餌となるバクテリアは無尽蔵というレベルで存在していました。そのへんを這いずりまわるだけで、お腹が満たされる。そういう世界だったのです。
 さらに、海の中は陸の上に比べて、遥かに環境が安定しているという事情もあります。
 そんな世界では、何十億年あっても、生物たちは進化なんて殆どしません。
 カブトガニだってシーラカンスだって、安定した環境の中にずっと居たから、太古の昔とほとんど変わらない姿で生き続けてきたのです。
 ですから、海の中と陸の上での生物たちの進化の度合いに、圧倒的な差が生じたのです。

 ところで。

 クラゲという生き物は、水流のないところでは生きていけない事を、ご存知ですか?

 クラゲは水流を感じとって、その流れに少しだけ抵抗するように、身体の各部が反応して、バランスを取りながら「漂って」生きています。
 水流の速度より、自分の速度のほうがゆったりとしているので、「自分の周辺の水」に対して、相対的にゆっくりと移動していることになります。

 この状態で、例えば、口を開けっ放しにしていれば、ずっと、新しい水が口に注ぎ込まれる状態です。
 その「新しい水」には、一定割合で栄養となる食べ物が含まれています。
 だから、口の中に食べ物が入り込み続けて、飢え死にしないで済むわけです。

 水流に対して相対的に止まっていたらーーつまり、ただ水流に流されているだけなら、口を開けっ放しにしていても、何も入りません。
 このまま放置すれば、やがて餓死しする運命です。

 水流がないところでは、クラゲは、餓死してしまうのです。
 これが、水流がないところでは、クラゲは生きてゆけない、の理由です。
(琵琶湖のような巨大な湖だと、波が起こりますので、クラゲは生きることが出来ます)

 では、大陸の湖に取り残されたクラゲたちが、小さな池や湖でも生き延びるためには、一体、何をどうすればよいのでしょう? ただ死んでゆくなんていうのは、脳を持たないクラゲだって、嫌だったに違いありません。

 答えです。
 何かに向かって、泳げば良いのです。
 どこか目的地を定めて泳げば、水流が発生します。そうしたら食べ物が口に入るのです。

 ですが、クラゲという生物は、同じパーツが4個とか、6個とか、8個とか、12個とか、偶数個を円形に連なって、それぞれのパーツが条件反射で勝手に動いてバランスをとる生物です。
 そんな状態で、「何かに向かって泳ぐ」なんて、出来ますか?
 無理ですね。
 例えば、人間の世界でも、個人個人が自分の利害だけを重視して、好き勝手に振舞っていたら、足の引っ張り合いがはじまって、社会は悲惨なものになります。
 社会全体を良くするためには、「政府」や「自治体」のようなものを作って、個人の主張を超えた次元で、全体のバランスをとります。
 この時期に、クラゲは、まさにそれと同じことをしました。
 それはつまり。
「脳」の開発です。
(この時点で、もはやクラゲではありませんが、ここでは便宜上、「クラゲ」という言葉を使い続けます)

 この時点で優れた眼を獲得できていれば最高なのでしょうが、初期の脳には、食べられるものとそうでないものを、識別するだけの力がないでしょうから、当面は、触覚のようなものを用意して、「食べ物の臭い」を手がかりに移動する、という感じだと思います。
 その臭がする方角へ、近づいてゆくように身体をコントロールするのです。
 そうすれば、水流が起こらない世界でも、理論上、そのクラゲは生きてゆくことが出来ます。

 ですが、身体の全全周囲に、この臭いセンサーを配置してしまうと、「同じ所を行ったり来たり」や、「一点でぐるぐる回転するだけ」な状態に陥ります。
 ですから、同時に身体の仕様も変える必要があります。
 まず、前と後ろが明確にする必要があります。
 そして、センサーとなる触覚を、進行方向の最先端に配置します。数は、左右1対。脳の位置は、もちろん、このセンサーのすぐ側です。
 そのうえで、泳ぐのであれば、それまであった足(腕)は、そのままでは水の抵抗になって邪魔なので、なるべく小さく、そして、平たくしてしまいます。そして、もし可能であれば、推進力を得るための「ヒレ」や「水かき」に作り変えてしまいます。

 さて。
 大陸の上に取り残されたクラゲ達が生き残るために、必要とされる新しい姿が、だんだん、見えてきました。
 でも、いまはまだ、それはたんなる机上の空論です。
 果たして、本当に、そんな生物がかつて、存在したのでしょうか?

 実は、「居た」のです。
 カンブリア紀の海を、まさに、「そういう生き物」が泳いでいました。アミスクエアという軟体生物です。

アミスクエア
アミスクエア(復元イラスト) カンブリア紀のバージェス化石郡の代表的な生物化石の一つ。軟体で、頭部、腹、尾と分かれていた形跡があり、泳ぐためのヒレを有していた。脳らしき痕跡がある。

 私は、このアミスクエアは、大陸クラゲの子孫たちの、初期の特徴をそのまま継承した生き物だと考えています。そして、海から大陸に住処を変えた初期型の生物だからこそ、海への帰還も、比較的容易に出来たのではないかと考えます。

 ですが、こんな生ぬるい生物のままでは、激しい生存競争を生き抜けません。もっと上手に泳げるようになりたいですし、環境の変化にもより上手に適応したいです。

 上手に泳ぐのであればーーそうですね。ゼラチン質の身体を、もう少し硬くしたいです。例えば、硬いキチンで覆ってしまう、とか。もちろん、全身を、単純にキチン質化して固めてしまったら、身動きが取れなくて生まれた瞬間から、餓死に向かって一直線です。
筋肉を使って、まともな動作を確保出来るように、身体の各部は硬軟を使い分けるようにします。
 それから、「餌の臭いに向かって進む」だけでは限界がありますので、やはり、眼が欲しいところです。
 眼が手に入ったら、触手は別の用途に転用するのが良いかも知れません。臭い用の触覚は、別の位置に、新たに作っても良いわけです。そして、この触手を、たとえば、獲物を捕まえるために転用する、とか。
 元は足で、ヒレとして使っている部分も、必要に応じて、足に戻したり、再度独立して一つ一つを羽にしたりするのが良いでしょう。
 以上のような新しい要望を盛り込んだ新生物は、イメージとしては、下のようになります。

アノマロカリスー2
アノマロカリス そのあまりにも異形な形状故に、人々に衝撃を与えた、古代生物の代表選手。「カワイイ」と、一部では大人気になった。いまでも、「古代生物」に関わる組織やイベント等で、しばしばマスコットとして使用される。現存するカギムシの近縁、あるいは少しだけ離れた種であったと考えられている。なお、現存するカギムシの仲間は、全て地上で生活している。

 ほら。
 大陸に上がってしまったクラゲとアノマロカリスが、一直線で繋がってる。

 そして、実は。
 フォルム的にこれとそっくりな、アノマロカリスとは方向性が異なる解答を導き出してしまった生物も、存在していました。

グラブロ−2
ノーコメント

 と、これはお約束のボケで、本当のは下。
 ネクトカリスという生き物です。

ネクストカリス
ネクトカリス 発見当初は、エビの頭部に脊椎動物の胴体が繋がったキメラ生物だと大騒ぎになったカンブリア紀の化石生物。現在では、イカやタコの祖先にあたる頭足類だと考えられている。口の部分に漏斗らしきものがあり、触手は二本しか存在しない。クラゲは、身体が同一パーツの連結であるため、胃袋がパーツの数だけ存在している。その胃袋の幾つかを、水の吸入と排出専用に分離して、水の取り入れ口も別途に独立させれば、イカやタコの漏斗の原型は、簡単に造ることが出来たと考えられる。また、同じ要領で、「墨袋」を造ることも容易だと考えられる。



 はい。
 イカ、タコ、オウムガイ、アンモナイトの系統も、ここから派生した生物だという推測が出来ます。
 もっとも、初期のネクトカリスは、漏斗の性能が低く、柔らかい身体は水の抵抗を受けやすいため、泳ぐのはアノマロカリス以上に不得手だったと思います。ネクトカリスは、全身をキチンで覆うのではなく、筋肉で覆うことでとりあえず水の抵抗を低減した集団から進化した生物だったと思われます。でも、理屈はアノマロカリスと同じです。この後、チョッカクガイやオーム貝、アンモナイトと、硬い殻をもった生物に変わってゆくわけですが、「水の抵抗を減らす」なら、当然、その方が効率がいい、ということは、理解できると思います。あるいは、表面はそのままでも、中に芯を入れて、身体を少しでも硬質化する、という手もあります。基本的に、硬いほうが、水の抵抗を低く抑えられます。
(イルカの皮膚のような、水の抵抗を低減させる特殊処理も手段としては存在します)
 しかし、それにしても。
 最初期の頭足類には、足(腕)が二本しかなかったというのは、意外過ぎる話でしょうか?
 いえいえ。
 頭足類に沢山の足が生えてしまったのは、おそらく、こういう理屈です。
 ネクトカリスは、最初から2系統の推進力を持っていたのでしょう。
 ひとつは、漏斗によるジェット推進。
 もうひとつは、身体の周りに張り巡らせた、ヒレ。
 そして、ネクトカリスは、獲物を捉える時に必要な瞬発力を重視して、漏斗のジェット推進をメインにすることとなります。さらに、ネクとかリスの子孫は、水の抵抗を減らすために、進行方向を硬い殻で覆います。
 すると。
 殻の中では、ヒレの使いみちが無くなってしまいます。
 このヒレは、もともとは「足」でした。
 足(ヒレ)を、殻の中に閉まっておいても、何の得にもなりません。
 この足(ヒレ)、いったい、どうやって処理をしましょうか?
「とりあえず、殻の外に押し出す」
 が大正解だと思います。
 そして、殻を獲得したチョッカク貝や現在も生き続けているオーム貝などに特有の、「理不尽なぐらい沢山の足が、殻の外へ突き出る」という、フォルムが完成するのです。
 つまり、推進機関であるヒレを、殻の中に押し込んでおいても邪魔だから、もとの「足」の姿に戻して、殻の外へ追いやったのです。
 その後、殻が失われた後も、この形状は保たれ、そのまま、現在のイカやタコにも、このスタイルのまま継承されたーーというわけです。

 なんか、引っ張れば、このネタだけで、本が一冊書けてしまうんじゃないかと思いますが、先へ進みます。
 頭足類なのに、足(腕)が二本しかなかったというのは、現在の私達から見れば驚きですが、進化の流れを再現してみると、むしろ、こちらの方が自然だったのだと、納得が出来るはずです。
 イカやタコに足が突然増えたのは、体の一部を殻で覆ってしまった結果の、反動みたいなものだったのです。そして、使ってみたら、その形状のほうが、生存競争で有利に戦えたのです。

 なんか、むりやり引っ張れば、このネタだけで、本が一冊書けてしまうんじゃないかと思いますが、先へ進みます。

 話を進めるため、この辺りで、《甲殻類の大元の祖先は「クラゲ」》ということを、確定させてしまいます。
 当然ですが、サソリの祖先がクラゲなら、ヤスデの祖先も、エビ・カニの祖先も、昆虫の祖先も、当然、クラゲ、ということになります。


 それでは、満を持して、太祖であるクラゲ様のライフサイクルを観察してみましょう。
 下の図は、ミズクラゲのものです。
ミズクラゲの一生

 クラゲは、卵を産み、生まれた卵からはプラヌラ(幼虫)が現れます。栄養状態が良い時には、分裂母体であるストロビラに変身して、その状態で大量のエフェラ(サナギ)に分裂してゆきます。放出されたエフェラ達は、それぞれ成長して、親クラゲとなって、また、卵を産みます。
 栄養状態が悪い時、卵から帰ったプラヌラ(幼虫)は、直接、1個のエフェラ(サナギ)に変身します。そして、成長して親クラゲになり、卵を産みます。

 変体昆虫は、卵から帰った幼虫が、サナギに変身し、そこから成虫が現れ、卵を産みます。

 栄養状態の悪い場所で育つ時のミズクラゲの生活サイクルと、変体昆虫の生活サイクルは、寸分違わぬものだということが、ご理解いただけると思います。

 文章だとわかりにくいので、図を貼ります。
変体昆虫とクラゲ

 ほら。全く同じ。


 ということで、次回はこの続き、「変体」とはいったい何なのか? という部分を、掘り下げてお語しします。
 ってか、最初に書いた記事だと、上下でちゃんと話が纏まってたんですけど。書き直したら、ボリュームがおかしくなっちゃったので、上、中、下の三部作に予定を変更します。

 それにしても、なんで消えたんだろ?
 いや、心当たりはあるんですよ。
 十一(進化)から出てくるのは、どんな〇だ?
 それは、ミッシングリンク(失われた輪)だ!!
 ってことで、「話が失われた」んでしょ?

 つづく

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Posted bysusa

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