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いきもの憑りのお話ーー21

susa

いきもの憑りのお話ーー21


矢追純一UFOスペシャル           

矢追純一UFO特番のタイトル画面 1970年代に放映が開始され、日本中の子供たちを恐怖のどん底に叩き落とした伝説の番組。『矢追純一のUFOスペシャル』。何が怖いかって、作り物の宇宙人の出来がそこそこよくて、怪しげすぎて、既にそこからして怖い。ピカピカ輝く銀色の肌。何それ、怖い。生物は、少なからず太陽光線を利用して生きている(人間だって、太陽光を利用して体内でビタミンとかを生成している)のだけれど、この銀色の宇宙人は、光を反射して、一体、どういうつもりなのでしょうか? (そのくせ、目は異様にでかい。太陽光線が微弱な世界で進化をしたのなら、身体は黒ってのが、定番なんじゃありませんか? 保護色にもなるし)ってか、自然界だと、目立ちまくって敵に発見されやすく、真っ先に喰われてしまうんじゃないでしょうか? 同じことは、機動戦士ガンダムに登場する「百式」というモビルスーツでも言われていますが……


 この記事は、《いきもの憑りのお話ーー20続きです。


 1960年代の日本で、空前の《UFOブーム》が巻き起こりました。

 類似のブームとしては、ネッシーや雪男、ツチノコといった所謂《UMA》や、口割け女や人面犬といった俗に言う《都市伝説》がありますが、UFOブームは両者を足して2で割らない様な、異様な世界観でその後半世紀以上、下火になることはあっても決して消えることなくくすぶり続け、現在も世界中を捲き込んで継続しています。

 まず、UMAに関してですが。
 これは、一種の《宝探し》であり、その本質は《ロマン》です。
 そして、夜空にUFOを探すというのは純粋に《ロマン》です。
 また、空は誰の頭上にも存在しているのですから、この宝探しには誰もが自由に参加することが出来ます。わざわざ外国へ行かずともUFO探しは出来るのです。勿論、《UFOが多数目撃されている》といわれている特別な土地へ旅行して探すことも可能です。
 その場合、旅行をするだけで気分はとても盛り上がるでしょう。
 UMAやUFOの根底には、その様な《興奮》がありました。


 ところが、UFOと切っても切り離すことの出来ない《宇宙人》の話しとなると、状況は一変して、たちまち《都市伝説》の様相を帯び始めます。

 1970年代に入って放映が開始された矢追純一のUFO特番シリーズで育った世代に言わせて貰うと、まず、《アメリカ合衆国は宇宙人との間に密約を交わしている》というところを抑えておかなければなりません。
 これは、《ロマン》などではなく、単純に《怖いモノ見たさ》です。

(「怖いもの見たさ」、こそ、都市伝説の本質です)


 そして、アメリカ政府は宇宙人との関わりの中で、「極秘文書」「極秘計画」「秘密の組織」といったものを大量に作成した事になっています。国民に対して、何の説明もしないまま、極一握りの人間だけで、それを決断したということになっています。


 これらも、《恐怖》そのものです。


 この様な話しを聴かされると、人は、「それで、どうなったの?」と、その先が気になって仕方が無くなるでしょう。何故ならば、《自分が関わってしまった恐怖》を何とかしたいというのは、大脳を発達させた高等な脊椎動物の持つ、原始的な本能だからです。

 矢追純一のUFO特番で語られた物語は、さらに《アメリカ軍の地下にある秘密の工場で、アメリカの研究者達が、宇宙人と共に研究を行っている》とか《宇宙人は時折、人を誘拐しているのだが、(科学技術力の差が大きすぎる為)アメリカはそれを黙認している》という風になっていました。

 もしかしたら、自分もUFOにさらわれてしまうかもしれません。
 これも、やはり《恐怖》です。
 特に子供にとって、この種の「連れ去り」は、もっとも恐怖心を掻き立てるものの一つと言ってよいでしょう。

 そして更に特番は、番組を盛り上げるための演出として、多数の「UFO目撃者」「物理学の権威」、「UFO研究家」、「政府関係者」等が素顔でカメラの前に登場し、実名で《目撃談》《体験談》、あるいは《事の真相》を語る、あるいは、UFOや宇宙人を隠し撮りしたという「極めて精度の悪い写真」を提出するというのが、ベースフォーマットになっていました。

 そのような具体性のある演出によって、当時の子供達(大人も)は、すっかり宇宙人の実在を脳裏に刷り込まれてしまったわけです。

 ですが、よく考えてみて下さい。

 テレビ番組の中で、《見知らぬ外国人が、そう主張している》からと言って、どうして、それが宇宙人の証明になるのでしょう?


父親の実験がタイムトラベルを引き起こしてしまったと証言する女性

矢追純一UFOシリーズの中で、自分の父親が責任者を務める実験で、タイムトラベル現象が起こったと主張する女性 顔出しで、実名で登場しています。凄いね。本当ならね。この特番では、この他にも、自称超能力者や自称宇宙人とSEXをさせられて子供を出産した女性、自称UFO研究科、自称元軍人、自称FBI関係者などが、多数登場します。ですが、それが真実という証拠は何処にもありません。まさに、ミステリー




 テレビに出演している人々が、本当に、本名を名乗って、真実を語っていると、誰が「裏取り」をしたのでしょうか?

 現代であれば、番組放送中に視聴者が一斉に、その名前で検索を始め、住所、年齢、家族構成などを、番組放映中に全て明らかにしてしまうところですが、当時はそうは行きません。


 出演者は全て映画のエキストラのような存在で、最初からシナリオが用意されている、「やらせ番組」ではないという、保証は何処の誰がしてくれたのですか?

 UFO特番が放映されていたのと同じ時代に、「川口ひろし探検隊」という、人気番組がありました。この番組の中では、しばしば、「そこで我々は、新種の生き物を発見した!!」とかいうようなナレーションが入って番組を盛り上げていたのですが、子供心にも私は、「どうして、この生き物のことか、新聞の記事にならないのだろう?」と疑問に感じていたものです。

(魚とか昆虫は、しばしば新種か発見されると、新聞やテレビで報じられていたした。探検隊が、本当に頻繁に新種生物を発見していたのであれば、探検隊へのインタビューと共に、これまで発見してきた新種の数々を写真で紹介する――ぐらいのことは、するのが当然ではないかと思っていました)

 大人になった今では、『あの探検隊は、基本的に《お芝居だった》』という事が判ります。


藤岡弘探検隊

川口ひろし探検隊の面々 この配置。この表情。これが、テレビカメラを意識した演出でなくて、一体、なんであるというのか? OKがでるまで、一体、何回ぐらい撮り直しをしたのだろうか? 当時の未公開となったNGシーンを集めたDVDとかを発売すれば、それなりに売れるんじゃないかと思ったりしました。身の部分を削ぎ落としたピラニアに、隊長が指をかじられたのは、流石にヤラセではなく、本当の事故だったんだろうけどね。 この探検隊に入隊することは、当時の一部の子供たちの夢だったような気がします。確か、隊員の入れ替わりが、結構激しいんですよww よっぽどきつい仕事だったんでしょうねwww



 もちろん、遠い外国の未開の地へ赴くわけですから、それなりの発見はあったでしょうし、珍しい動物にも出くわしたに違いありません。しかし、毎回毎回、命がけの熱いドラマが繰り広げられるというワケでもないでしょう。それを番組として成立させる為には、《やらせ行為》を用いるのは、ある程度仕方がなかったのでしょうし、番組の性質上、そのやらせは、大きな社会問題になるようなものでもありませんでした。

 ただ。
 子供の頃には、「テレビはウソなんて言わない」と無条件に信じていたので、《あの番組は基本的にお芝居だった》という結論に至った時は、頭が随分混乱しました。

(この探検隊が《お芝居》だった事は、《歌》にもなったので、広く認知されていると思います。「動かない蛇が襲ってくる~。何故か不思議な事に、しっぽから落ちてくる~」っていう歌詞のやつです)

 さて。

 調べてみると、《UFO特番》で用いられる《やらせ》の中には、この《川口ひろし探検隊》と同レベルか、あるいはもっと酷いものが見つかります。

 例えば。
 アメリカがイラクを攻撃した時、超能力者が《核施設》を超能力で見つけ出した、云々の下りがあるのですが。

 現在では、当時のイラク軍は核兵器を保有していなかったことが、ハッキリしています。原材料となるプルトニウムを確保する手段が皆無だったので、当然と言えば当然です。
 では、番組に出演している《自称超能力者》は、一体、何を透視で発見し、アメリカ軍は、有りもしない核兵器をどのようにして破壊したというのでしょうか?

 この種のウソが一つ見つかるだけで、たちまち、全体の信憑性が揺らいでゆきます。

 ですが、本当の《酷い捏造》は、これとは比べものになりません。

 それは、「タイムトラベルを成功させた」というものです。
 アメリカ軍が軍用艦船をレーダーに映りにくくする為の実験をしたそうです。
 手法としては、《船体に複数のコイルを配置して、そこに超高出力電流を流すことで、船体の磁力を打ち消す》というものでした。

 ところが、この実験で、船は消え去ってしまい、40年後の世界にタイムトラベルしてしまった――という趣旨の逸話が、矢追純一UFO特番で語られていました。
 そして、このタイムスリップした軍用艦が、宇宙人との共同研究をしていた、40年後のアメリカ軍の秘密実験と繋がってしまった――というのです。
 秘密実験の関係者は、急いで電源を落としたのですが、ケーブルを切断しても電流が流れ続けて機械は止まらず、結局、物理的に破壊しまくって、ようやく機械を作動停止させた――という、「ウソをつくなら、もっとマシなウソをつけ!!」と叫びたくなるような、あるいは、開いた口がふさがらなくなるような、そういう類のウソでした。

 もし、そんな簡単な方法でタイムトラベルが可能になるのなら、世界中の科学者が、とっくの昔に「時間旅行」を成功させているでしょう。

 今ならば、アップル社やGoogle社が、莫大な投資をして短期間で「時間旅行」を成功させて、特許を取りまくって、自社の独占ビジネスを展開するに違いない話しです。
 しかも、偶然とはいえ、いまから数十年前に、既に発現させている現象なので、現在の技術であれば再現は容易でしょう。

 ですが、「時間旅行」に関しては、未だに、基礎理論さえ出来ていません。

 ということは、矢追純一のUFO特番で語られていたことは、ただのウソなのです。

 なぜそんなウソをついたのかというと、番組製作サイドは、20年後、30年後の事なんて考えていなかったから、だと思われます。

 視聴者が喰いついてくれて、放映時にのめり込んでくれれば、何だってよかったのです。

 そういう風に、「ウソ」を探してゆくと、矢追純一のUFO特番は、「信じるに足る情報など、微塵もない」という状態に陥ります。

 このウソ探しに、特別な技術や知識は、必要ありません。
 Youtubeにアップロードされている当時の番組を、ただ視ているだけで、まともな完成の持ち主であれば、番組の各所に「突っ込みたい衝動」に駆られるはずです。

 子供の頃は、純粋に信じて視ていた番組かもしれませんが、「時間」が、違う視点を私たちに与えてくれた、その結果として、このような事が起こります。


 ちなみに、私が宇宙人を信じなくなったのは、ずっと速くて、中学生の頃でした。

 そして、そのように確信した理由は、上記のようなものではなく、当時は日本がアメリカ製品を圧倒して天下をとる勢いだった――というものです。

 本当にアメリカが宇宙人と最先端技術に関する研究を行っているのなら、そこからスピンオフされた様々な技術が、アメリカの工業製品に反映されていて然るべきです。

 しかし、レトルト食品やインスタント食品(宇宙でも食べなければなりません)の分野は、日本が圧倒的に優位にありました。
 自動車(UFOだって乗り物なので、共通点が多々あるはずです)は、ジャパンバッシングの象徴ともいえる存在で、アメリカ車は日本車に対して全く歯が立たない状況に追い込まれていました。
 半導体技術も、メモリー開発の分野で日本が世界シェアの大半を握っていた時期でした。現在、記録、SDカードやUSBメモリーのような記録媒体が不可欠なものとなっていることを考えれば、この種の製品は宇宙人と共同研究しているアメリカから生み出されなければウソということになりますが、この技術を見つけたのは東芝でした。

 そうなると、「《宇宙人》はむしろ、『日本に来ていて、日本人と共同研究していたのでは?』」と言いたくなります。

 その辺りが、当時の私には、なんとも「気持ち悪く」感じられました。

 現実を直視するならば、矢追純一のUFO特番は完全なデマカセという事になりますし、特番を信じるのであれば、現実の裏に、何か壮絶なカラクリがある――ということになります。

 しかし、日本叩きを全力で行っていた当時のアメリカが、宇宙人との共同研究で得られた成果を日本の手柄にする――というストーリーは、無理にも程がありすぎます。
 それで結局、当時の中学生だった私は、「宇宙人とアメリカとの秘密協定なんてないし、そもそも、宇宙人は地球に来ていない」という結論に到達したのです。


 その結果、何が起きたかというと、私は「安眠」を手に入れました。
 それまで、宇宙人がさらいに来る――寝ている間に、宇宙人が来る――という矢追純一の特番の中で定番化している事件のひとつ――は、子供だった私にとってそうとう恐ろしい話しだったのですが、それから解放されたので、眠るのが怖くなくなったのです。

 つづく


追:


一 や

〇 お

一 い

十 じゅん

一 いち


 なんだか、岩戸(一〇十)が崩れた感じの名前だなぁ……

 それで、神でも悪魔でもなく、宇宙人が出てきちゃったわけか……


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Posted bysusa

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