神憑りのお話ーー07

susa

神憑りのお話ーー07
99週目-s  
「All You Need Is Kill」より 主人公が死ぬシーン この漫画のことは、私は詳しくはありません。ただ、「ループもの」というジャンルの漫画だということぐらいは知っています。最初は、単なる新兵に過ぎなかった主人公は、死ぬたびにループしてしまうという特異体質になってしまったが為に、やがて学習によって「死なないパターン」を見つけ出し、それまで進めなかった未来を掴みとってゆく。その手の小説や漫画が、ある時期から地味〜に、流行っているようです。私の場合、「ループもの」を初めて意識したのは「時尼に関する覚え書き」という短編小説でした。その小説は、過去に向かって生きてゆく女性と、普通の時間軸を生きている男性との恋愛小説で、正規の意味でのループものではありませんでしたが……。本当の意味での「ループもの」として初めて意識したのは、「リプレイ」という小説で、この小説は、現在描かれている小説や漫画の基本的な要素は、ほぼすべて抑えているのではないかと思います。

ギタイ
「All You Need Is Kill」より ギタイ 人類の天敵として猛威を振るう「ギタイ」。私は、「All You Need Is Kill」という作品には興味はわかないんですが、「ギタイ」という名前には、引っかかるものを感じるのです。だって。「ギタイ」を数字に置き換えると「321」になるんだもの。

 この記事は神憑りのお話しーー06》の続きです。

 名古屋の話しの続きです。

 この夜に聞こえて来たSLの音には2種類あって、一つは明るく華やいだ感じがする、祝福のような音。 もう一つは、その逆でブーイングのような音でした。
 鳶の時と同じパターンです。

 それから、新たに思い出したことがあります。
 この時点で、私は既に、「これと同じような状況」を経験していました。
(この状況に対しての、ある程度の準備を整えていました)
 最初に《現象》が発生したのは、東京だったか、あるいはこの話しより、前話した自転車を整理したりゴミを拾った事の方が先だったのか、良く思い出せません。


 どうして、記憶が混乱しているのかについては、「ループもの小説(漫画)」が参考になります。ループものは、主人公が、特定の状況下で、何度も何度も、同じようなシチュエーションを繰り返す、という物語です。
 そんな状況に置い散ったら、何時、何があったか、どんな順番で起こったか、なんてことは、あっという間に、「把握できなくなる」のは明らかです。
 私の場合は、タイムトラベルのようなことを経験したわけではないのですが、短期間の間に同じような場所を行ったり来たりして、しかも、似たようなシチュエーションを何度も体験させられたため、何がなんだか、わけがわからなくなっているのです。

 そして、どっちが先でどっちが後でも、この辺については、あまり重要だとも思えないので、とりあえずこのまま「その夜に体験した事」の話を続けることにします。

 この《現象》には、奇妙なルールがありました。
「悪行」を行うと、頭がおかしくなるというか、意識が遠のいてゆき、「善行」をつむと症状が改善するのです。

「悪行」と言っても、そんなに大それたモノではありません。
(夜中なので)大きな音を立てるとか、ゴミを散らかしてしまうといった、スケールの小さな「悪行」です。
 また、「善行」についても同様で、「ゴミを分別する」とか、その辺に散らかっているモノを片付ける、といった、些細な行為です。
 それで、私はジュースの空き缶などを片付けたりしたわけですが、そういうことをすると、当然身体が汚れますので、ソレ用に服を用意していて、ゴミを捨てる為のゴミ袋も持参していました。

 あと、この現象は、祝詞を唱えたり、祝詞を紙に書いたりすることでも軽減されたのですが、途中で少しでも間違えたり突っかかったりすると、減点の対象と成る為、あまり効果的ではなかったです。

 ある程度規模の大きなゲームの中に、ときどき「ミニゲーム」が発生するものがありますが、感じとしては、まさしくそれでした。
 なんで、こんな理不尽なことをやらされているのだろう?
 等と思うのですが、「とにかく、そういうことになっている」ので、状況に対応せざるおえなかったのです。
 というよりも、「3千世界の大掃除、大洗濯」だから、「掃除」をさせられるんでしょうね。

 それで、「始まった」と感じた直後に、ホテルに戻って支度を調え、汚れても構わない服に着替え、名古屋の夜の街で、人目を忍んで清掃作業を始めることになりました。
(どう考えても、怪しいヤツです)

 空き缶とかは、ちょっとしたことで大きな音を立てるので、あまり効率が良いとは言えません。しかし、自動販売機の横にほぼ確実に存在するので、探し回る手間は少なく、楽と言えば楽でした。
 その他、割れたガラスの破片を拾ったりと、夜の夜中に、本当に細々としたことをやりました。

 もちろん、「こんな事をして、いったい何になるんだろう?」と疑問に感じながらです。
 何故ならば、こんな事をしたところで、明日になれば、誰かがジュースを買って、その空き缶をその辺に捨てたり、ペットボトルと缶を分別せずに同じ回収箱に捨てたりと、同じレベルに戻ってしまうからです。
 それにそもそも、そういう仕事をしている方がいるわけで、わざわざ、私がやる必要など無いはずなのです。

 でも、しないと意識が遠のいていって、そのまま「終わり」になってしまいそうなので、それが恐ろしくてやりました。

 この日、印象深かったのは、「中身が入ったジュース(それも一度に数本纏まって)」を発掘してしまったことでした。

 この時は、
(なんで、中身が入ってるジュースが捨ててあるんだ? やっぱり、この世界はなんかおかしい。普通に考えて、こんな事があるわけがない……)
 とか思ったりしました。
(しかも私は、前回名古屋に来た時も、中身の入った烏龍茶を拾っているんですね)
 へんなの。

 このジュースや、集めたタバコは、後ほど、先のホームレスの神様の方に差し上げました。持っていった時、その方は寝ていたのですが、二度目に行った時には目を覚ましていて、「ジュースは受け取るけれど、タバコは要らない」とお怒りになられました。

 疲れているにも拘わらず、私は、寝る事も出来ない状態で、ワケの判らない「掃除」を続けさせられました。
 その間、トイレに行きたくなったりして、数回ホテルに戻り、最終的に、例の「逃げなければ」という思いに駆られ、衝動的に、ホテルを立ち去ったと記憶しています。
(前金制で、鍵を所定の位置において、勝手に退出するシステムのホテルだったので。というか、休まないんなら、部屋を借りる必要ないじゃん!!)

 それで、まだ陽の昇らない時刻(おそらく4時頃)にホテルを出て、タクシーを捉まえて、それで扶桑に向けて走って貰いました。なぜ、駅へ行って始発電車に乗らなかったのかというと、「追われている」、という妄想に囚われていたからです。

 しかし、タクシーの無線連絡からただならぬ気配を感じ取って(狂っている人のやることですから、いちいち突っ込まないで下さい)、扶桑に到着する前に、気分が悪い振りをしてタクシーを途中で降りました。
 とにかく逃げたかったので、1万円札を渡して、「おつりは要りません」と言って降りたのですが、運転手の方が後を追いかけてきて、その時は、かなりびびりました。

 逃げなきゃ。逃げなきゃ。

 頭の中は、とにかく、逃げることでいっぱいです。
 逃げながら、扶桑を目指す。
 それが、「目的」になってしまっていました。

 で、そこがどこだかも判らない場所を縦横無尽に歩き回って、「匂い」を追跡されにくくして、その後に水路(両岸をコンクリートで整備された小さな河川)に入りました。
 それで、ヤブが生い茂っているような所まで(おそらく)百メートルぐらいを水の中を歩き、身に付けているモノを、一旦此処に捨て、衣服をカバンの中に有る、まだ着ていないものに着替えました。
 真冬に、屋外で、素っ裸になっての着替えです。
 それと、この時に、あまりにも重量的に苦痛を感じていたので、A4サイズのノートPCを一台捨てました。
(お気に入りだったので、とても勿体なかったですが……)

 そして、靴もしばらくの間は手に持って、土の上を歩きました。
 かなり長い時間、延々と歩き続けました。
 相当長い時間歩いたと思ったら、いつの間にか前歩いた場所に戻ってきてしまったり、といった「お約束」もあり、疲労の極地の状態でしたが、とにかく、歩いて、歩いて、歩きました。
 空気はとても冷たく、体の芯から凍えるようでした。
 それでも、歩き続けました。
 歩いても、歩いても、駅にも線路にも辿りつけません。

 おかしいなぁ?
 とか思いながら、必死になって歩きました。

 そして、あることに、気がつきました。
 いつまで経っても、夜が明けないのです。
 月の位置が、ずっと同じ場所にあるのです。

 つづく。
 

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Posted bysusa

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