富士と日と月(二二と一と二三)ーー(03)

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富士と日と月(二二と一と二三)ーー(03)

ノーチラス号(原子力潜水艦)s   
Wikipediaより ノーチラス号 世界初の原子力潜水艦。原子力潜水艦の登場により、世界の軍事戦略は大きく変わった。動力を得るために酸素を必要としない原子力潜水艦は、長期間に渡って潜水状態を維持することが可能で、この原子力潜水艦に核弾頭ミサイルを搭載することによって、大国の「核戦略」の幅が膨らんだ。本国が仮に先制攻撃で焦土と化しても、原子力潜水艦が無事であれば報復攻撃が可能である。そのため、相手は「先制攻撃に成功すれば報復を受けることなく一方的に勝利することが出来る」という危険な楽観論に逃避できなくなった。ノーチラス号の名は、もともとはジュール・ベルヌの「海底二万哩」というSF小説の中に搭乗した謎の潜水艦の名前である。だが現在では、「ふしぎの海のナディア」というアニメに登場したノーチラス号が、もっと知名度が高いと思われる。

 この記事は富士と日と月(二二と一と二三)ーー(02)》の続きです。

God is dead. God remains dead.
神は死んだ。神は死んだままだ。
And we have killed him.
私達が彼を殺したのだ。

フリードリヒ・ニーチェ


 昨日お話ししたオイゲン・ヘリゲルと真反対のような人物がいます。
「神は死んだ」「超人思想」「永劫回帰」などで有名な、フリードリヒ・ニーチェです。
 ヘリゲルがこの世に在ったのは1884-1955年、ニーチェは1844-1900
 同じドイツ人、同じ思想家という立場、わずかとはいえ同じ時代を生きたという事実から、もしかしたら、両者の間に面識があったのでは、という期待を抱いたのですが、残念なことに、両者はの人生は、一度も交わることがありませんでした。
 ニーチェの晩年は、発狂(あるいは極度の精神衰弱)によって、他者と交流出来るような状態になかったからです。その頃の手紙が残されていますが、確かに、「正気の人間の書い文章」とは思えません。(ただ、「神が〜」とか「霊がぁ〜」言っている私に、アレコレ言う資格は無いのかもしれません)

 東洋の果ての島国で、「神秘的なモノ」を手に入れたヘリゲル。
「神は死んだ」と断言し、究極の《個》とも言える「超人」を目指せと説いたニーチェ。

 思想家として、一定の地位を確立したヘリゲル。
 思想家として、世間から注目されぬまま狂気の世界に取り込まれたニーチェ。

 ナチスの党員となったヘリゲル。
 ナチスを嫌ったニーチェ。

 このように並べて書くと、とても対象的に感じられる二人ですが、私は両者に、同じぐらい親近感を覚えます。
 ニーチェは、「神は死んだ」という言葉からも判るように、間違いなく、「この世界」に絶望していたはずです。そうででなければ、神に縋らずともく力強く生きられる「超人」を目指せと唱えるわけがありません。
 では、ヘリゲルはこの世を楽観視していたのでしょうか?
 否。ヘリゲルも又、この世界を悲観し、絶望していたに違いありません。
 この世界に希望を感じている人間が、どうして遠い異国の地を訪れて、精神修行などするでしょう? また、現状の世界に希望を抱いていたなら、現状を力ずくで破壊しようとしたナチスを信奉するはずなどありません。
 彼等が生きた時代は、あまりにも「残酷」であり、「悲惨」だったのです。
 その悲惨さが、ニーチェに「神は死んだ」と言わせ、ヘリゲルを遙か遠い異国へ導き弓道を学ばせ、あるいは「ナチス党員」にさせたのだと思います。

 では、なぜ彼らの生きた時代は、それほどまでに悲惨だったのでしょうか?
 いったい、何が世界をそれほど狂わせてしまったのでしょうか?
 悲劇の源の名前は、「科学」。
 科学技術が、世界を狂わせてしまったのです。

ジャン
ふしぎの海のナディア より ジャン・ロック・ラルティーグ エヴァンゲリオン、産業革命、科学、などの言葉を並べると、真っ先に彼のことを思い出す。科学者というか、発明家。科学者の卵。1875年生まれなので、1884年生まれのヘリゲルと年は10も変わらない。彼なら、正気だった頃のニーチェと何処かですれ違っていたかもしれない。あの時代は、非常に息苦しい時代て、そのことは、多くの人々の目に明らかであった。ジャンは、そんな時代を背景にしたアニメ、ふしぎの海のナディアのヒロインの相方として活躍する。コレって、ガイナックス流の皮肉だったのかな? それと、個人的な話だと、この「ふしぎの海のナディア」を最後に、アニメは卒業したはずだったんだよね。友達がエヴァンゲリオンのビデオを送ってきたんで、それは観たけど。うーん。おかしいなぁ? どうして、こんなことなったんだろう?

 技術の進歩によって、人類はそれまでよりも「大量に」「高速に」「安価に」製品を作り出す事を可能としました。産業革命です。「大量生産時代」が幕開を開けたのです。
 ところが、製造される商品がどれだけ増えようとも、(収入が十分に増えない限り)消費される量が極端に変わるわけではありません。
 一人の人間の食べる量は、産業革命があろうが無かろうが、さほど変わりはしません。
 一人の人間が住む家は、殆どの場合一件です。
 そうなると、大量生産が始まった世界では、生産力(競争力)の弱い者が次々に「失業」へと追いやられてゆく社会となります。

 ですが、一発逆転の手段が無いわけではありません。
「戦争」です。
 自国の産業が相手国に大きく遅れを取った時、何かの理由にかこつけて、相手国に乗り込み、相手国の産業基盤を根こそぎ破壊してしまえばーー自国の産業は、息を吹き返します。
 また、軍事力を背景に、他国に「貿易」を要求することもあり得ます。
 それをやられたのが、幕末の「黒船来航」でした。

 日本人なら、なぜ「黒船が来たか」、知っているはずです。
 黒船が来た理由を知っているなら、「過剰な生産力が悲劇を生み出す」ということも、当然理解しているはずです。
 理解できていない人は、「黒船が日本にやってきた理由がいまいち理解できていない人」です。

ネオ・アトランティス、ご一行様s
ふしぎの海のナディア より ネオ・アトランティスのご一行様 彼らはふしぎの海のナディアに登場する「世界征服を目論む秘密結社」の構成メンバーだが、現実世界では、この手の「世界征服を主目的とする組織」は存在しないというのが、わたしの持論。ただし、手段として「世界征服と同じこと」をしている連中は実在する。そしてそれは、経済活動を追求していたら、戦争が始まるのと同じ原理で生じている。

 つづく

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Posted bysusa

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