(政治・経済)自殺と戦争と震災と「なつひさお」
日本の自殺率は、先進諸国の中で最悪で、若年層に限れば自殺大国韓国さえ凌駕する驚きの酷さです。この自殺率の高さを、経済に結びつけて語る人がかなりいて、それは必ずしも間違いとはいえないのですが、大きな見落としをしている方が多いと思います。
自殺率(自殺件数)は、戦争があると、低下する
という事実です。
これはもちろん、戦争を肯定しているのではありません。
自殺者を減らすために戦争状態を創りだす、なんていうのは、愚の骨頂です。
私が主張したいのは、「自殺に至る要因はいくつもあって、「《経済》にだけ注目しても、この問題は解けない」という点です。
「社会福祉法人浦河べてるの家」という所が、とても重要な発見をしていて、自殺というのは、
という、この条件の何れかが突出して高まってしまったか、あるいは、これらが総合的に高水準になった時、発生するということなんですね。
「戦争」というのは、「国と国が敵‥味方に別れる」ので、自分の周りにいる人は、とりあえず、「基本的に味方」になります。そして、「〇〇は敵だ!!」という共通の話題ができます。そうすると、「ひまで」と「寂しい」が大幅に緩和されるのだと考えられます。
2011年以降、自殺者数が大幅に減少しました。
自殺者数の推移 - 厚生労働省 より(リンクはPFDファイル)
日本の自殺者数が3万人の大台に一気に乗ってしまったのは、消費税が5%に引き上げられた1998年の事で、その前年までは8千人も少なかったので、消費税と自殺を関連付けて考える方はとても多いです。この考え方だと、2011年以降の自殺件数の減少が説明できなくなります。
それで、「自殺者数のカウントの仕方を誤魔化すようになったんだ」、「自殺者数が減ったのとほぼ同じだけ、変死者数が増えているぞ」というような指摘がなされるようになったのですが。(そして、そこに反対派がツッコミを入れて、状況が一気に解りにくくなり、混戦が始まってしまった)
私の考えだと、2011年以降の自殺者の減少は、東北大震災の影響です(それと、民主党が選挙公約の一つにしていた「消費税引き上げ凍結」)。
あの震災の後、日本中が「絆」とか「東北を見捨てたりはしない」とか「日本中が応援する」と言った声が上がり、実際に支援活動が行われました。
その声は、東北地方とは縁も縁もない、「自殺予備軍」の元にも届いていたんですね。
「私も、一人じゃないんだ」と。
だから、2012年以降、自殺者が急激に減ったんだと思うのです。
もうひとつ、自殺者を減らしたと考えられるものが有ります。
安倍政権です。
「中国の野心!!」「北朝鮮の核の脅威!!」
といったことを、盛んに喧伝してきた安倍政権は、鳩山政権から始まった民主党の「鳩派外交」よりは、明らかに「戦争に近い」ことを、否定する人はいないでしょう。そして、良い、悪いの話ではなく、これも「自殺者を減らす要因として働く」のです。
(繰り返しになりますが、自殺者を減らすために戦争状態を創りだす、なんていうのは、愚の骨頂です。)
そして、消費税の5%への引き上げが日本の自殺者数を3万人の大台に乗せていた、というのは、紛れもない事実だと考えます。
それから、「なつひさお」には、予防策として、「たなかやすお」というものがあります。
- た…食べる(お腹がすいてるとき)
- な…仲間(寂しいとき)
- か…語る、体を動かす(暇なとき)
- や…休む(疲れてるとき)
- す…すぐ相談、すぐ受診(悩んでいるとき、お薬を飲んでないとき)
- お…おろす、送ってもらう(お金が無いとき
つまり、
- 「(誰もが)ちゃんと食べられる=ちゃんとした職がある」
- 「(誰もが)仲間を見つけられる=不当な差別がない」
- 「(誰もが)語ったり、運動する場がある」
- 「(誰もが)休めるだけの、生活のにゆとりをもてる」
- 「(誰もが)相談する相手を持っている」
- 「(誰もが)お金に困った時、助けてくれる存在がある」
「働き方改革(という名の奴隷化経済政策)」ってのが、この間まで国会で騒がれていましたね。
アレは、当然のように、自殺者を増やすでしょう。
とりあえず、今国会での審議入りが潰れてくれて、私はとても嬉しいです。
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