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そして、《変態》という人種が生まれた――21(最終回)

susa

そして、《変態》という人種が生まれた――21(最終回)

スパモン教-s
空飛ぶスパゲッティ・モンスター教 の宗教画 2005年6月アメリカ合衆国において、空飛ぶスパゲッティ・モンスター教
という《究極の変体宗教》が産声を上げた。殆どの国家は、この宗教を宗教団体としての許認可を与えてはいないが、オランダ政府は正当な宗教としてこれを認めた。空飛ぶスパゲッティ・モンスター教が誕生した理由は極めて明快で、キリスト教系団体が政治的圧力を架け、教育現場が「進化論」に費やすのと同等の時間を、キリスト教の主による世界と生命の創造に振り分けるよう要求し、地方議会で採決しようとしていたことに対して抗議するためであった。だが、議案は成立、教育現場では科学の事業に進化論と創世神話を等しく教えなければならなくなった。ただし、この条例を支持していた議員たちは、継ぎの選挙で全員落選し、教育体制は再び元に戻された。だが、空飛ぶスパゲッティ・モンスター教はその後も存続し続け、特にネットを中心に、指示を広げた。現在、スパモン教の最も有力なネットブログである「Boing Boing」は、イエス=キリストの父親がこのスパゲティー‥モンスターではないことを証明出来た者に対して、100万ドルの報酬を支払うとしている。

 この記事はそして、《変態》という人種が生まれた――⑳の続きです。
 また直近の、富士と日と月(二二と一と二三)ーー(04)》あたりの流れを受けています。

 しばらく間が空きましたが、この記事がそして、《変態》という人種が生まれたシリーズのラストです。(タイトル内に機種依存文字を入れるのは良くないということに、遅まきながら気がついたのと変体、変体と、毎回やるのに、いい加減飽きました
 というか、最終回はこのネタに決めていて、記事もあらかた出来上がっていたので、陳腐化する前に投稿するだけ、という説もあります。
 実は、今書いている記事も、やってることはこのシリーズと大して代わり映えがしないですが、それでもこのタイトルでの記事は今回ので終わりにしたいと思います。

 さて、本題に入ります。

 宗教とは、一体なんでしょう?
 なぜ、「神」の姿がスパゲティ・モンスターになると、途端に胡散臭くなるのでしょう?


 おそらくそれは、宗教が人に作られた道具だからです。
 そして、宗教の中に祀られている内に、神もまた、「人の道具」に成り下がってゆきます。

「神様は人間にそっくりな形をしている」というのは、真理ではなく、人間の強い願望なのです。
 そして、「神は人間に好意的である」という考えも、単なる願望です。

 ところが、《スパモン教の神》は、大前提として人間に似ていてはなりませんでした。
 何故ならば、「キリスト教」に対する痛烈な批判の為に創られた神だからです。
 2005年、アメリカのカンザス州議会において、生物進化の授業と同じだけの時間を、キリスト教の「創造論(インテリジェンス・デザイン=ID)」を教えることを義務付ける州法が可決しました。
 スパモン教は、これに対する抗議のために、「子供たちに、生物進化、及びIDを教えるのと同じ時間、スパモン教について学ばせるように」と要求したのです。
 もし、スパモン教がキリスト教や他の既存宗教に徒酷似していたら、世間はこれを「抗議」とはみなさず、類似宗教の売名行為などと受け取りかねません。

 そこで、誰もがひと目で「これは《変態》だ!!」
と判る、奇妙奇天烈なものが「でっち上げられた」のです。
 外観も「相当なもん」ですが、教義の方も振るっています。

 スパモン教では、天国ではビールが飲み放題、ストリッパーが見放題ですが、地獄にも同じものがあります。
 ただ、地獄だとビールは気が抜けてしまってるし、ストリッパーは性病持ちです。
(この定義だと、この世界は限りなく地獄に近そうです)

 祈りを捧げる時の言葉は、「アーメン」ではなく「ラーメン」です。
 お布施は必要ありません。
「そんなお金があれば、自分の健康のために使いなさい」というスタンスです。
 他にもいくつかあるのですが、「子供でももう少しマシな事を考えつくよ」というレベルです。
 それで良いのです。
 あるいは、「こんな宗教に入信するなど、もっての外だ」と考える方がいるかもしれません。
 しかし、おそらくスパモン教信者たちは、キリスト教徒よりも精神的に健全だと思います。

 その根拠は、信者たちが「スパモン神」に、一切、何も期待していないと思われるからです。
(仮に、天国に行ってビールを飲みたいという動機があるにしても、そもそもスパモン教には、何をすれば天国へ行けるかという基準がないのです。地獄に関しても同様です)

 キリスト教の信者は、おそらくは大半が「救い」を求めているでしょう。
「神様が救ってくれなければ、自分は地獄に落ちてしまう」という考え方は、「依存」という形を通じて心を不健全な状態にします。

 ちょうど、別の記事で「新世紀エヴァンゲリオン」の人類補完計画の事を話題に取り上げているのですが、あの計画も、「人類の補完」というのは、要は「我々は出来損ないの欠陥品だ」とひたすら悲嘆にくれるための計画ですから。

 スパモン教は、変態であるが故に、我々に今までとは異なる救いを与えてくれています。
「神になんて頼っても仕方がねぇ……。こんな神に期待なんか出来るわけねぇ……。だから、自分で出来る範囲で頑張るしかねぇ!!
 という、身も蓋もない、救いです。

くまモン(きぐるみ)s
熊本県のご当地キャラクター くまモン  現在は、日本の殆どの都道府県に「ご当地キャラクター(ゆるキャラ)」が存在する。それどころか、市町村や各種団体までもが自前のキャラクターを持っている。これらゆるキャラに対しては、日本のみならず世界からも熱い視線が注がれていて、熱心なファンを惹きつけている。はっきり言ってしまうと、ゆるキャラに「実」はない。くまモンがいても、行政サービスが向上するわけではないし、家事の現場に消防車が駆けつけるのが早くなるわけでもない。きぐるみの中に入る人間が必要なので、雇用が一人か二人分発生するかもしれないが、暑いし臭いし疲れるし、どう考えても割に合うような仕事ではない。しかし、ゆるキャラがいると、それだけで周囲の人間の心の持ちようが変わる。確実に変わる。夕張市のメロン熊を観て泣き叫ぶ幼児を見れば、一目瞭然である。ゆるキャラ達は、魂を揺さぶる強烈な力を秘めている。国政のみならず、市町村でも、企業でも、「合理化」「合理化」と叫ばれてきたが、ゆるキャラは合理化の対極に位置する存在である。だが、ゆるキャラが居る社会は、どこか心地よいものが漂っていることは、誰にも否定できない事実である。

 スパモン神は、宗教界のゆるキャラと言って良いでしょう。そして、ゆるキャラ故に愛され、約立たずであっても許されています。
 嫌なこと、辛いことがあっても、「スパモン神様が私をお見捨てになった……」と嘆く信者は、おそらく一人もいないでしょう。

 実利だけを追い求め人は、しばしば、意図せぬ悲劇を山のように生み出してしまいます。
 それは、なんの配慮もなく道を歩いて、ありの行列を踏み潰してしまったようなものなのでしょう。周りが見えなくなるのです。

 立派な社会人、まともな人間だけを対象にしていると、同じように、社会に悲劇の山が築かれます。

 兵隊で大切なことは、「少数の突出した優秀な戦士を確保すること」ではなく、「底辺の能力を底上げすること」です。そうしないと、いつまでも弱い軍隊から抜けだせません。
 企業で大切なことは、「普通の社員を活用すること」です。一部の天才に全てを任せていては、1回、2回は好成績を残すかもしれませんが、やがて能力が枯渇して、会社全体が低迷に陥ります。
 野球ですと、超天才的なホームランバッターが一人いても、ほかがダメなら試合に勝てない、というのと同じです。チーム全体の平均値が向上しなければ、試合に勝てるチームにはなりません。

 ゆるキャラは、そんな「底辺」の底上げに抜群の効果を発揮します。
 同様に、《変体》もまた、「全体」に大きな波及効果を及ぼします。

 基本的に、《変体》は得意分野を持っています。特定の分野に対して、揺るぎない哲学、確固たる見解、強い信念を持っています。
 往々にして、それは周りの人々に伝播します。それが世の中を変えてゆきます。
 上意下達ではなく、横から横へ、あるいは、下から上へ伝わる流れです。

 私は、スパモン教は、ネットを中心にジワジワと浸透し、やがて日本でも、メジャーな存在になるのではないかと睨んでいます。そして、不気味な新興宗教・カルトに変わる新しい宗教的な流れを生み出したりしてしまうのではないかと密かに期待しています。
 そうなると、既存の宗教たちも、それなりの対応取らざるを得ないでしょう。

 仏教徒より、キリスト教徒より、スパモン教教徒の方が、圧倒的に幸福そうであったら、立つ瀬が全くなくなりますから。

 ちなみに、スパモン教は日本にも支部を持っていて、その日本支部の言う所によると、「天国には冷えた三ツ矢サイダーなども用意してあるので、アルコールが飲めない人でも大丈夫」との事です。

 別に、入信をすすめるわけではないですが、そういう神様も居るのだということを、心の片隅にでも、おいておいてやってみてはどうでしょう?
 案外、その余裕が、貴方を意外なところで救ってくれるかもしれません。
 神様ではなく、貴方自身が、貴方や貴方の周辺の人や物を救うのです。

《完》

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Posted bysusa

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