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そして、《変態》という人種が生まれた――⑤

susa

そして、《変態》という人種が生まれた――⑤

シャアアズナブル「布団たたき」
「シャアの日常」より

 
この記事は《そして、《変態》という人種が生まれた――④》の続きです。


「機動戦士ガンダム」という作品に登場するシャア・アズナブルという人物は、特筆すべき、そしてまごうことなき《変態》です。秩序と序列を重んじる軍隊に、よく彼のような人間の居場所があったものだと感心します。
 だって、アニメ登場時、彼の階級は「少佐」ですよ。
(番組後半で「大佐」になります)
 その程度の地位でしか無いのに、真っ赤っかの軍服を着て、そこいらを我が物顔で歩きまわっているんですよ。
彗星ひよこ
アニメ「ガンダムさん」より 彗星ひよこ

 少佐の上には、中佐、大佐、准将、少将、中将、大将、総帥とかなり沢山の階級があります。上には上がいる。少佐なんて、ちょうど真ん中ぐらい。企業で言ったら課長程度です。
ジオン軍高官の方々
「機動戦士ガンダム THE ORIGIN」より 軍服から察するところ、ジオン軍の准将と少将の面々。
※ マ・クベはもともとは軍人ではないので、こういう格好なのでしょう。上官がこういう地味色なのに、佐官クラスが赤い色とか、あり得ない。

 普通なら、というか、まともな軍隊であれば、上官の誰かが言うでしょう。
「お前、普通の軍服着ろ」「それが出来ないなら、軍人やめろ」「そんなに赤が好きならば、私のコネで消防隊に推挙してやってもよいが、どうだ?」
 とかなんとか。
 会社だって、課長クラスがチャラチャラした格好で我が物顔で好き勝手してたら、「明日から会社来なくていいよ」で終わりです。
 というか、軍隊という所は、まず形から徹底して揃えてゆくところです。軍隊って所は、ヒーロー(≒変態)なんてモノは必要としていなくて、数の力と兵器の組み合わせ、戦略、そしてその場の勢いでなんとかしてしまうところなんです。
 ヒーローみたいな不確実な要素は、軍隊にとって邪魔なんですよ。(計算できないから)


 どうなってんでしょうかね? ジオン軍ってところは。

 ちなみに、ガンダムが放映されていた当時の日本の中学校とか高校でさえ、1年生、2年生は、髪の毛短くなくちゃいけないとか、ズボンやスカートの長さはこのぐらいまで、とか。厳しい掟があったはずなんだけどなぁ……

 まぁ。
 説明する必要も無いのでしょうが、このシャア・アズナブルという人物は、機動戦士ガンダムの世界における「ニュータイプ(≒変態)」の代表的な人物です。

 もともと、ガンダムの世界では、宇宙に住むスペースノイドと、地球に住むアースノイドの対立構造が深刻化していて、スペースノイドが搾取されている、という設定になっていました。
 前回、ちらっとお話したように、ここでも、

「この公園は、今日から俺達のものだ。お前たちは、どっかよそへゆけ!!」
 という論理。行く所が見つからない時は、「遊ぶな(勝手に絶滅しろ)」
 みたいなゴタゴタがあって、人類のかなり沢山が、宇宙に追放されたわけです。

 しかし、ガンダムの世界のスペースノイドの中には「特権階級」がいましたし、アースノイドにもやはり「特権階級」が存在しました。そして当然のように、両陣営には膨大な「貧困層」が存在しました。

 そういう世界で、「宇宙に出た人類の中からは、《共感力》が発達した新しい人種(ニュータイプ)が登場するんだ!! 偉いんだ!!(=ニュータイプ思想)」と言い出したのが、シャア・アズナブルの実の父親、ジオン・ズム・ダイクン。

ジオン・ズム・ダイクン
アニメ「機動戦士ガンダム」より ジオン・ズム・ダイクン

 ダイクンが提唱した時点でのニュータイプ思想は、特に根拠のない「負組の強がり」、あるいは「オナニー」でしかありませんでした。他にすがるものがなかったので、存在してもいないニュータイプをでっち上げ、自分たちを慰めたのです。

 ところが、プロパガンダの上手なザビ家がダイクンを暗殺し、思想的な指導者として成り代わってしまうと、武力を後ろ盾とした「独立」に向けて、現実に歩み始めてしまいました。

ザビ家一同-S
SEGAサターン版「機動戦士ガンダム ギレンの野望」より ザビ家の方々
 純粋に「スペースノイドの中からニュータイプという新種が登場するだろう」という趣旨であったダイクンの予言をは、ザビ家によって「アースノイドはけしからんので、我々スペースノイドが成敗しなければいけない。なぜならば、我々はニュータイプという新人類なのだから」というロジックに捻じ曲げられてしまったのです。
 公王となったデギンやその長子ギレンの巧みな誘導によって、スペースノイド達は「ニュータイプが持つとされた《分かりあえる存在》という要素」を完全に忘れ、「独立」の二文字を追うことになっていったのです。

 当初は、スペースノイドはほぼ完全な弱者でした。
 スペースノイドの大半は、地球に留まるだけの権力が無いために、宇宙に「強制移住」させられた人々か、その子供や孫、という状況だったからです。
 力を持たない弱者であるが故に、「独立」もまた、夢物語でしかありませんでした。
 ところが、(ジオンが)モビルスーツ(ザク)という新型兵器とミノフスキー粒子という電磁波を遮断する物質の軍事転用技術を完成させてしまったことで、状況が一変します。
 スペースノイド側(というか、ジオン)と地球連邦軍の持つ軍事力のバランスが、ここで大きく揺らぎ、「武力による独立」が現実味のある目標に変わったのです。
ザク・リアルグレード_s
「MS-06 ザク」 (1/144スケールのプラモデル、RGザク) やっぱり、ザクはカッコいい。いや、美しい。大好き。

 前回のキャシャーンの話に例えると、アンドロ軍団に虐げられていた人類が、キャシャーンを量産したみたいな感じでしょうか?
 そして、一時的にジオン公国は圧倒的な優位に立つのですが……、地球連邦軍も同じよにモビルスーツを完成させてしまい、ジオン公国の優位性は失われ、ジオン公国側が内輪もめで致命的失態をやらかしたことも手伝って、そのまま、地球連邦軍に敗北してしまいます。

 でも、今は
シャア・アズナブルという《変態》の話をしています。
 連邦が勝ったとか、ジオンが負けたとか、どっちが正しいとか、どうやれば勝てたとか、そういうことは、重要じゃないんです。

 つづく。

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Posted bysusa

Comments 2

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はじめまして 
続き楽しみにします

ジーク!ジオン!!

2018/03/10 (Sat) 20:05 | EDIT | REPLY |   
すさ  
ありがとうございます

ジーク!ジオン!!
はじめまして

一人で暴走しちゃって、
「これ読んでる人は、どんな風に受け止めているんだろ?」
って新倍だったんですが、そう言っていただけて安心しました。

ガンダムネタがしばらく続きます。
(これがまた、人類云々の話とうまいことリンクするんで)
これから出てくる(3月12日投稿分)アムロの所が、特に面白くなると思います。
ご期待ください。

2018/03/11 (Sun) 10:58 | EDIT | REPLY |   

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